院長日記 Part1

院長日記 2007/11/13-2

先日「ダイハード4.0」を息子と一緒に見た。クラッシュ大好きの息子は、はまってみていたよう。おもえば、研修医時代、久しぶりの休みに暇つぶしにと入った映画館で「ダイハード」をみた。ストレスだらけの研修生活を吹き飛ばすような活躍ぶりに気分爽快であった。
そのときから二十数年後、息子と一緒に続編を見ることになろうとは思いもよらなかった。
・・・しかし、あんときからずいぶんたったけど、お互いがんばってるね− と画面の中のB.ウィリスに心の中で声をかける。
願わくば「ダイハード5.0」も作って、年を感じさせない大活躍を続けてほしい。

院長日記 2007/11/13-1

収集癖

昔から物を捨てるのが苦手な上に、奇妙なものに興味を持って集めて回る癖があった。男の子は大体そうだろうが、道端に落ちている王冠だの、工事現場から拾ってきたなんに使うのかわからない部品、蛇の抜け殻その他もろもろ集めまくっていました。
今もその傾向は変わらなくて、特に高価なものでなくても妙に心惹かれる小物なんかは思わずほしくなってしまいます。おかげで診察室のデスクの上も、木彫りの人形だの、アンモナイトだの陶製のかえるの置物だの、天狗の顔の文鎮など意味不明のもので埋め尽くされてしまっています(蛇の皮はないが・・・)。その中から個人的に愛着のあるものを・・・・

ガリレオ式温度計
今ではポピュラーになってしまったが、液体を満たしたガラス管の中に密度のそれぞれ違う液体を封入したガラスの球が浮いており、室温によってガラス球が上がったり下がったりする。シンプルできれい。まさにゲージツ品。つくづくガリレオは頭もセンスもえかったんやなーと思い知らされます。知人からの贈り物。


クレーパイプ
と、きいてもわかんない人も多いでしょう。タバコ喫煙用に18世紀くらいまでヨーロッパで盛んに作られた素焼きのパイプです。海外では一本何百円程度で売られているよう。壊れやすいので最近ではあまり実用的に使われてはいないようです。特にこのパイプはやたらと柄の部分がながくてシュールでキテレツな感じ。この異様な風体が心引かれて、海外旅行の店先で。

院長日記 2007/9/21

「息子さんにリタリンを処方してみましょうか?」

予想していたことではありましたが、さすがに一瞬返答を躊躇してしまいました。
長男に多動傾向が著しいということは、小学校低学年のころから発達障害専門の小児科医と心理療法士に指摘されてはいました。
投薬はあえて行わずに経過を見ていたのですが、高学年になってうつ状態が悪化して小児科医に受診したときに、そのように言われました。
いざ身内のこととなると決断がなかなか難しいものですね。

結局長男はリタリン服用を行うも症状の改善はあまり見られず、結局その後個人輸入でストラテラ(FDAの認可を受けているADHD治療薬)の服用を行って様子を見ています。

以前リタリンは強い依存性がある、使用に当たって非常に注意が必要な薬物であるとお話しました。
しかし、国内では適応疾患に該当していないにもかかわらず、ADHD(注意欠陥多動障害)の症状を持っている子どもたちにとってはなくてはならないといっていいほどの薬です。
症状に対する改善効果は70%以上といわれ、行動療法と組み合わせることによってより改善効果が期待できると考えられています。
リタリンが何よりも重要な点は服用することで、日常生活の支障になる問題行動が減少し、知的活動に集中しやすくなることで本人自身が苦痛を感じずに社会生活を送りやすくなるということです。
ADHDはその症状のため集団生活になじめなかったり、排除されたりすることが多く、そのため自尊心の低下など二次的な心理的問題が生み出されることがあるため早急に対応することが必要です。
リタリンは現在日本で使用可能な唯一のADHDの治療薬であり、国も重い腰を上げて迅速に適応症として認めるよう動くべきであると考えます。

でも、一番心配な治療と依存症の関係はどうなのでしょうか。
実は、統計的(主に米国)にADHDの方は治療のためリタリンを使用しても依存症になる危険はほとんどないといわれています。
私もこの障害で治療している方で、むやみに大量服用するようになったり、依存症になった人は経験したことがありません。
理由ははっきりしませんが、外来ではそのような印象を持っています。
ですから、リタリンの使用をいたずらに恐れたりすることはありません。
きちんとした診断と処方がなされれば大きな福音となる薬であることは間違いないのですから。
一部マスコミの報道のように リタリン=悪 ときめつけてしまうのは絶対に間違っています。

院長日記 2007/9/20

〜リタリン:新宿の医院に都が立ち入り検査 不適切処方で〜

依存性の高い向精神薬「リタリン」の乱用が広がっている問題で、東京都と新宿区保健所は18日、適応症でない患者にリタリンを処方していたとして、医療法違反(不適切な医療の提供)の疑いで新宿区内のクリニックへの立ち入り検査を始めた。
医師の裁量が幅広く認められている医薬品の「処方権」に踏み込んで検査を行うのは極めて異例だ。

検査を受けたのは新宿区歌舞伎町1の「東京クリニック」=伊澤純院長(37)。
医療法では、患者に適切な説明を行うなど「良質かつ適切な医療」を提供するよう定められている。

都医療安全課などによると、東京クリニックはリタリンについて
■十分な診察もせずに処方
■適応症は難治性・遷延性うつ病なのに、軽症のうつ病患者にも処方
■依存症など副作用の経過観察を怠っている・・・など、医療内容が不適切である疑いが強いとしている。
東京クリニックを直接監督する新宿区保健所には、05年3月〜07年3月、患者の家族や医療関係者から「まるで覚せい剤販売のようにリタリンを処方している」「息子がリタリンを処方され続け、薬物依存になった」など、リタリンの処方や、伊澤院長の診療方法について計30件の苦情が寄せられた。

このため同保健所は、口頭や文書で過去10回にわたり行政指導をした。
しかし、その後も、適応症のない患者にリタリンを投与したり、同クリニックでリタリンを処方された患者が幻覚・妄想状態となって都内の病院に入院したとの情報をつかみ、医療内容の改善が図られていないと判断した。

上記のようにリタリンに関しての事件がまた、9月18日、19日の毎日新聞、東京新聞で取り上げられました。
リタリンは依存性の強い、使用に関して大変注意の必要な薬剤であるが「うつ病」の適応を取っているために安易に使用されやすく、過去にも問題視されてきました。

当院では「うつ病」でリタリンを処方することはまずありません。
効果が見られることがあっても一時的で、改善(寛解)にいたるまで使用する薬ではないと考えているからです。

先日も自称「うつ病」という人がやってきました。
以前かかっていた病院でいろんな薬を出されたがリタリンしか効果がなかったといいます。診察した印象ではうつを疑わせる所見は見当たらず、紹介状も持っておらず以前かかっていた病院の名前は忘れたなどといいます。
いろいろ細かく尋ねているうちに、患者である自分がその薬がいいといっているんだからそれを出してくれればいいでしょう!というようなことを言います。

私は、うつ病であるからリタリンの処方が必要というのであれば、前の医師の診断書が必要であるということ、あなたは薬物依存の可能性があるから適切な治療が必要かもしれないと話しました。
しかし、その人はそれっきり来院することはありませんでした。

リタリンは「うつ病」に対しての適応がある薬物とされているので、医師の安易な処方が医原性の依存症を作り出す恐れは以前から指摘されていました。
今後この適応の見直しも含めて医療界全体で考えていく問題と思います。

しかしその反面、リタリンは特定の疾患にとっては非常に有益な薬物です。
ADHDやナルコレプシーの症状を持っている人にとっては、現在なくてはならない薬剤ともいえます。
次回はそのことを書きたいと思います。

院長日記 2007/9/10  T.H君のこと

ずっと長男の同級生だったT.H君が9月の7日に亡くなった。
享年12歳。誕生日を目前にした死だった。

私はT.H君には会ったこともないし顔も知らなかった。
しかし、彼のことはずっと以前から知っていた。
3年前に絵が好きな長男がうれしそうにT君の絵はすごいんだよといって持って帰ってきた絵を見たことがある。
トランポリンの上で飛び跳ねる人物をまるで連続写真のように一つ一つの姿勢を細緻に描き込んだ絵だった。
宙に舞い上がった人間の遊泳するように表現された軽やかな身のこなし。
それは変化と躍動に満ちた世界に対する驚きと好奇心、そしてその背後にある本質を捉えようとする非凡な感性に満ちているように思えた。
長男もそんな彼の才能に同年代ながら尊敬を感じていたようで、彼の話をするときはいつも賞賛の言葉を連発するのだった。
いつか、どこかでその利発な長男の友達にあってみたいと思いながら、結局その機会はなかった。

そのT君が学校に来れなくなったのは6年生の秋からだった。
伝え聞いたのは入院して療養しているということだった。
卒業式にも姿を見せることはなく、卒業証書だけが担任の先生を通じて届けられた。
それが今年の3月のことだった。

私は職業柄たくさんの人の最後に立ち会ったことがある。
身内をなくしたことももちろんあるし、大学時代に同級生が事故でなくなったこともあった。
しかし、会ったことも話したこともなかった人の死にこれほど動揺したことはなかったと思う。

ありがとうT.H君。たくさんの大事なものをあなたは友達に残してくれました。

謹んでご冥福をお祈り申し上げます。

院長日記 2007/7/10

先日のアメリカドラマ「FBI−失踪者を追え」の中で行方不明になった高機能自閉症の少年の話がありました。
非常によく高機能障害の感じ方、特性を描写してあり、制作のJ.ブラッカイマーの勉強ぶりに感心しました。
同じブラッカイマー制作の「CSI−ラスベガス」でも写真のような記憶像−直感記憶能力を備えた高機能自閉症の男性の協力を得て、グリッソム主任が事件の手がかりをつかむという話がありました。
興味本位の取り上げ方ではなく、発達障害を持った人が主要なキャラクターとして登場する作品が欧米では最近増えており、彼らの存在が「障害」ではなく「文化」として受け入れられてきているのかなとうれしく感じています。
「モーツァルトとクジラ」「家の鍵」「八日目」などが個人的にはよかった。

院長日記 2007/7/9 『最近読んだ面白い本』

■16世紀文化革命
まだ読んでいる最中。
前作の「磁力と重力の発見」は古代、中世に傍流のようであった経験と認識の方法が、次第に17・18世紀の科学的認識を生み出していくかを膨大な文献を駆使して解き明かしていく力作でした。
今回もかなりの読み応えです。


■リアル
車椅子バスケットボールをテーマにした作品。
「バガボンド」のあとがきで井上氏は「あがいているやつを描いてみたかった」ということ述べておられましたが、この作品でも登場人物は「リアル」な現実の中で悶え、苦しみながらひたすら前に進もうとあがき続けます。
この人の作品を読むたびに、日本の文化に根付いた漫画というジャンルの途方もない奥行きと可能性に圧倒されます。


■パリは燃えているか?
ノンフィクションの名作ですが、長らく絶版となり2年前に再刊されましたが、長らく積読しておりましてようやく最近手に取りました。
パリ撤退を前にしたドイツ軍に下る、パリを廃墟にせよとのヒトラー命令。
連合軍、レジスタンス、ドイツ軍の行動をドキュメンタリー的手法で追っていきます。
名作です。


■ピアノの森
アニメ放映も決定しているので、もはや説明も要らない傑作。
ピアノの「妖精」カイの活躍が実に爽快。

院長日記 2007/7/2 『ビリーズ・ブートキャンプ』

院長日記 7/2 『ビリーズ・ブートキャンプ』

いろいろと忙しく、なかなか日記をUPできないうちに7月になってしまいました。

梅雨も本格的になり、休みのMTBもさと山歩きもできず悶々としています。
運動不足解消にと先日、あの『ビリーズ・ブートキャンプ』に奥さんと二人で入隊を試みました。
最初が基本トレーニングDVD。
ひそかに「何が基本だよ。俺は学生時代空手をやってたんだぜ。軽いもんだ」と思いつつ、はじめたところが、これがきついのなんの!!
奥さんは10分で脱落。私も40分あたりの腹筋トレーニングで腹筋がつりまくって悶絶しながら脱落。
後日に再度挑むべく、体調を整えなおしているところです。
日ごろの運動不足を痛感。
それにしても、軍隊の通過儀礼でもあるトレーニングをDVDにしてしまったことで、無事にやり終えた人が、単なるダイエット効果だけではない特別な達成感を味わえるように演出しているところがこのビリーさんのすごいところだと思いました。

院長日記 2007/7/2 『最近読んだ面白い本』

院長日記 2007/5/18 『最近読んだ面白い本』


『史上最悪のウイルス』カール・タロウ・グリーンフェルド

SARSウイルスの発生から、制圧までをドキュメンタリータッチで描いた本。
実に、スリリング、かつ怖い。
新型インフルエンザの流行を前にして、最先端の研究者たちの努力はまた報いられるのでしょうか。
そして、人類は再度幸運に恵まれるのでしょうか。
現代の感染症対策の困難さを思い知らされる本でした。







『蝉時雨のやむ頃』吉田秋生

ベテラン吉本秋生による最新作。
相変わらずの細かい人間観察と心理描写、ひたむきな登場人物のかもし出す、すがすがしい感覚はこの人ならではという感じ。
続巻が楽しみなコミック。







『ビッグバン』サイモン・シン

サイエンスライターとしては、はずせない人。
今回は、天文学を話題に取り上げ古代の宇宙解釈から、ビッグバン宇宙の観測的証明にいたるまでの通史。
中世、近代から現代に至る天文学者たちの悪戦苦闘が、絶妙の語り口でつづられています。
読む楽しみにあふれた本です。

院長日記 2007/5/10

院長日記 5/18 『最近読んだ面白い本』

この連休に近くの山に登ってきました。 連休前半は天気に恵まれて、とても気持ちいい日でした。 これが盛夏になるとクモの巣だらけになって、頂上に着くとメガネがアミアミ模様になってしまいます。 今時が一番いい季節です。頂上からは三里松原海岸が見渡せて、景色は抜群です。この山は「北の開聞岳」なんて呼ばれたりもしているようです。 個人的にはいろんなことに関心があり、以前はスキーだのトレッキングだのとやっていましたが、最近は出来るだけ時間を作って子どもとあちこちでかけることと、読書することが休日の過ごし方になっています。 まあ、地味といえば地味なすごし方になってしまっていますが、子どもが病気したこともきっかけで今は家族と一緒にいることが自分にとっては一番落ち着けるすごし方になっています。 本はいろんなジャンルを読み漁るのが好きで、気に入ったものはそのつどご紹介していこうとおもっています。 よろしくお願いします。